【ウェル・ビーイングの科学】テレワーク中にも幸せに過ごす方法

数か月前には予測もつかなかった事態ですが、世界中で多くの人々が今、外出を避けて、テレワークを行っています。人類がこれまでも環境への適応を繰り返し今に至っていることを考えると、不思議でもありませんが、人々は新型コロナウイルスによりもたらされた日常生活の課題に対応し、新たなルーティーンに順応しつつあります。 

たくさんの記事やコラムでアドバイスを目にしますが、著名な専門家の重要なメッセージが埋もれないようにする必要があります。今こそ、これまで以上に幸福感を重視すべきであるという心理学者のソニア・リュボミアスキー博士にお話を伺いました。この記事では、その具体的な理由と対策に関する博士の説明をご紹介します。  

 

幸福感のメリットとは? 

人によって定義はさまざまですが、幸せそうな様子や幸せな気持ちが分からない人はいません。リュボミアスキー博士によると、幸福感には2つの要素があります。1つは、暮らしに対する全体的な満足感から生まれるものです。もう1つは、誰かにしてもらったことや何かの出来事で嬉しくなるなど、感情から生まれるものです。 

博士の研究では、幸福感により、成果やパフォーマンスが向上することが示されています。幸福感により創造性と生産性が向上し、適応能力を維持できます。同時に忍耐力も強まり、困難な状況に対処しやすくなります。だからこそ、困難な時期にはこれまで以上の幸福感が重要になります。マネージャー、チームメンバー、雇用主の誰もが幸福感を強く意識する必要があります。 

「幸せになれば、実際に問題に取り組む意欲が高まります。より多くの活力と健康、よりよい社会的サポートに恵まれます」

それでは、この困難な時期に、仕事において幸福感を維持するには、どうすればよいでしょうか。 

 

積極的な取り組みを維持して仕事の秩序、意義と「流れ」を保つ

この難しい局面においては、仕事がカギを握る可能性があります。仕事をすることで日常に秩序が生まれ、家庭で過ごす時間に区切りが生まれます。また、ニュースや個人的な懸念ばかりに囚われず、集中する対象ができます。仕事は将来へのモチベーションにもなり、何もすることがない状況を回避できます。 

多くの人々が自宅にこもっているため、会社で日常的に行われるようなコミュニケーションができなくなりました。しかし博士は、社会的につながる方法は見つけられる、また見つけるべきだと主張します。「日常生活の中で人との関係を強化できる精いっぱいの行動で、幸福感が強まり、いつも幸せだと感じられるようになるはずです」

ソーシャル・ディスタンシングを設ける必要のある間、ほとんどのつながりがオンラインでのつながりになります。博士は、オンラインでのコミュニケーションは、直接会う場合と「同じくらいよい」と言います。自分に合った方法を見つけると同時に、そうでない方法に注意すべきです。カメラに映ると気疲れする人は、気軽に電話に切り換えて状況を変えましょう。ポイントは、社会的な絆を育てることが目的だと意識することです。そうすることで元気が回復し、力が出ます。

新型コロナウイルスで変化した生活が辛く、打ちのめされた気持ちになることもあるでしょう。「何か集中できること、目標を持ちましょう。問題解決、子どものホームスクーリング、新しいスキルの習得、仕事の成功など、何でも構いません」集中できる対象を見つけることは「流れ」を作るためにも重要です。これも幸福感を得るための重要な要素です。 

「『流れ』は時間を忘れて、無我夢中で何かに打ち込んでいるときの状態です。流れのできる活動なら何でもよいので、取り組みを増やすべきです」

驚くべきことに一部の研究では、余暇の時間よりも仕事中に多くの「流れ」を経験することが示されています。この点からも、仕事が幸福感の主要な要素であることがわかります。創造的なブレーンストーミング、新規採用候補者との充実感のある面接、新製品の成功などから得られる満足感を考えてみてください。最新のデジタルテクノロジーのおかげで、多くの社員は自宅でもこうしたタスクを実行できます。つまり、毎日仕事で誇りと意義を感じることは今後も可能であり、また可能にすべきです。 

 

やさしさと感謝を優先し、仲間、コミュニティ、自分自身を大切にする

親切な行動や労いも幸福感につながります。博士によると、感謝と親切の概念はさまざまな文化に共通して見られるものの、状況によって感じ方はさまざまであり、文化によって意味が異なる場合があります。感謝と親切によって一人ひとりの幸福感が強まるだけでなく、人との関係とつながりも強まります。 

「物事が順調なときは、感謝の気持ちが起こりにくくなります。反対に逆境では多くの場合、助け合い、コミュニティや家族の結束を強める必要があります」

博士の研究では、人に親切にすることで自分の幸福感も強まることが示されています。新たな見方で物事を捉え、どういった行為が親切となるかを考えてみましょう。「感染リスクの高い人にウイルスを広めないように、人から距離をとること自体、親切な行為の1つです」

親切な行為は難しくありません。同僚に体調をたずねるだけでも、それは優しさです。チームの毎週のミーティングで貢献を認める、感謝を口にするなど、ささやかな感謝のしるしが大きな違いを生み、「見てくれている」、「評価されている」と感じてもらえるようになります。ポイントは、ささやかな行動でも周囲の人々にとっては意味があること、そして、親切や感謝を伝える行為が相手にとってよいことであると同時に、自分自身の幸福感にもつながることです。

 

困難な時期にも幸せは手の届くところにあり、努力は報われる

「逆境の時代だからこそ、幸福感の必須要素である関係性、つながり、感謝、優しさが大切になります」 

いつか今の暮らしを振り返り、私たちがこの困難から個人、チーム、企業、コミュニティ、社会として学んだ多くのことを噛みしめることでしょう。 

今言えることは、逆境を乗り切るために、幸福感がかけがえのないものであることです。同僚やコミュニティとのつながりを維持することで絆が生まれ、私たちは強くなります。仕事の継続が基盤となり、秩序と正常性の感覚を取り戻すことができます。そこから新しい発想が生まれ、未知の領域を切り開きながら、新たな目標を設定できるようになります。最後に、親切と感謝は魂を清めるだけでなく、私たち持つ人間性を強調し、全員が同じ状況に立ち向かっていることを再認識する機会となります。 

運に恵まれているときは、幸福感を当然のことと思いがちですが、今ほど必要なときはありません。リュボミアスキー博士の研究を手掛かりにし、皆の努力でこの危機を乗り越えて、より良い幸せな未来を築きましょう。

 

原文はこちら:The Science of Well-Being: How to Stay Happy While Working From Home