【エッセンシャル・ワーカー】今、世界で必要不可欠な仕事

3月19日、カリフォルニア州は4千万人弱の住民に対して、屋内退避指令を出しました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、住民は食料品の買い物や運動のための散歩など、必要不可欠な場合を除いて自宅から出ないこと、そして同居者以外とは常に1.8メートル の距離を取ることを求められました。その後、1か月以内に米国内のほとんどの州で同様の指令が出されました。 

多くの店舗が営業を停止するなか、特定の職種やサービスは人々の健康と安全を保つために不可欠で、なかでも医療従事者と食料品店の店員がその代表です。病人の治療にあたる人材、食料を確保する手段は常になくてはならないものです。そして、このような「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる人だけが自宅外で仕事を続ける状況が続くにつれて、「必要不可欠な仕事」について改めて意識する機会が増えています。 

以上を踏まえた上で、現在の米国で最も重要な仕事の一部について、Indeed は求人の掲載数と検索数の現状を探りました。これらの求人掲載と検索の数が昨年と比較して (2019年4月1日~2020年4月1日) どの程度増加したかを、新型コロナウイルスの影響 (3月13日~4月13日) と合わせて調査しました。 

 

食料品店の従業員

感染症への懸念が強まり、市内での移動制限が強まるにつれて、多くの地域の食料品店で需要が爆発的に高まり、棚から商品が消える事態となりました。買い物客の不安に対応するため、多くの店舗は営業時間を短縮し、従業員が商品を補充する時間を増やしました。

テキサス州の H‑E‑B のような、現状への対応を賞賛されている食料品店では、この事態に先駆けて計画を立てていました。また、一部の食料品の小売業大手は数千件の求人を募集することを発表し、大規模な雇用ブームとも言える現象が起こりました。

  • ウォルマート – 150,000件
  • アマゾン – 100,000件
  • Dollar General – 50,000件
  • CVS – 50,000件
  • Albertsons – 30,000件 

私たちの生活において不可欠であるこの領域では、全求人に占める食料品店の求人の割合は、1か月間で35% 増加しました。求職者の反応も同様で、全検索数に占める食料品店の求人の検索数の割合は、同期間中に200% 以上増加しました。

薬剤師と調剤技師

食料品店の他に、米国人がよく出かけるもう1つの場所は薬局です。屋内退避と病気の発症に備えて、処方薬を受け取ったり、その他の市販薬を備蓄するため、多くの人が急いで薬局に向かいました。 

全求人掲載に占める薬局の求人掲載の割合は昨年より31% 増加し、3月13日~4月13日にかけては27% 増加しました。求職者の関心も同様に高まり、全検索数に占める薬局の求人の検索数の割合は、同期間中に38% 増加しました。

看護師

看護師は以前から需要が高い職種でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、さらに需要が高まりました。3月13日~4月13日の間に、全求人掲載に占める看護師の求人掲載の割合は19% 増加し、全検索数に占める検索数の割合は48% 増加しました。

新型コロナウイルスに関する懸念の大部分を占めているのは、医療崩壊が生じ、すでに不足している医療従事者の負担がさらに大きくなることです。医療従事者の需要の増加に対応するため、一部の州では看護学生の卒業時期を早めて、現場で働けるようにしています。

トラック運転手

店舗の品揃えを維持し、玄関先まで最適の状態で商品を届けてくれるトラック運転手は、サプライチェーンを支える存在です。食料品や医療用品など、国内で最も必要とされる場所に品物を配送するトラック運転手の重要性がこれまでになく高まっています。

全求人に占めるトラック運転手の求人の割合は、2019年4月~2020年4月の1年間で18% 増加しました。3月13日~4月13日にかけても、さらに2% 増加しました。求職者も関心を示しています。全検索数に占めるトラック運転手の検索数の割合は1年間で67% 増加し、過去1か月で30% 増加しました。

郵便局の職員

アメリカでは、多くの郵便局員が必要です。郵便局員は、広大な国内のすべての地域で郵便事業を行い、配達先の住所は約1億5,900万戸に上ります。オンラインでの注文や宅配件数の増加に伴い、郵便局員の負担はさらに増しています。アマゾンが独自の配達サービスの比重を高めているものの、現在もアマゾンによる発送の半数以上は郵便局、UPS、FedEx が対応しています。

在宅している人々への商品の発送に加えて、今回の感染拡大が米国の国勢調査と確定申告の時期と重なったため、郵便配達業務は例年以上に重要でした。郵便局員の求人数はすでに上昇しており、全求人数に占める割合は前年より8% 増加していましたが、3月13日~4月13日にかけては29%と、さらに増加しました。全検索数に占める郵便局員の検索数の割合は、2019年4月~2020年4月で111%、3月13日~4月13日には140% 増加しました。

 

日本の「エッセンシャル・ワーカー」の動向

日本で緊急事態宣言が発令されたのは4月7日でした。少し時間軸を変えて、日本での「エッセンシャル・ワーカー」の動向を調査してみました。調査対象期間は2020年1月1日〜5月12日です。

 

小売・販売

外出自粛が要請され、スーパーマーケットやドラッグストアの需要が一気に高まりました。求職者のスーパーマーケットに対する関心も高まり、5月の検索数の割合は1月に比べておよそ2倍となっています。求人数の割合もやや増加しているものの、大きな伸びは見られませんでした。

 

配達・物流

巣ごもり需要の高まりでデリバリーに注目が集まったのが4月です。消費者の関心は求職者の検索行動にも反映されたようです。「配達・デリバリー」の5月の検索割合は1月に比べて69%増となっています。求人数の割合で見ると、もともと不足していたトラックドライバーの需要が継続しています。

 

医療・福祉

医療や福祉に関する仕事はコロナ以前から高い需要があり、人手不足が問題となっている分野です。求人数の占める割合が伸びる一方で、検索数の割合は横ばいでした。人手不足の拡大が示唆されます。

 

農業

新型コロナウイルスは農業へも深刻な影響を及ぼしています。外食産業やインバウンドでの消費が落ち込み、学校給食の需要もなくなりました。しかしながら、コロナ収束後も食糧供給は維持しなくてはなりません。農業への関心は高まり、5月の検索割合は1月の検索割合の2倍以上(112%増)となっています。求人数の割合も4月まで増加傾向にありましたが、5月に入ってから消費の落ち込みを反映してか、やや下がって来ています。

多様な働き方が浸透するにつれ、『地方に移住して、リモートで仕事をしながら農業を兼業する』などの選択肢も今後増えていくのかもしれません。

 

新型コロナウイルスの影響で仕事のあり方が変わり続けるなか、これまで注目を浴びてこなかった仕事のなかにも、多くの必要不可欠な仕事があることが分かりました。状況は日々変化していますが、私たち全員の生活を支えてくれている、エッセンシャルワーカーへの感謝の気持ちを忘れないようにしたいものです。

 

【調査方法について】

この記事で取り上げた職種名および類似した職種名の求人掲載数と求人検索数について、100万件あたりに占める割合を調査しました。たとえば「食料品店スタッフ」は「食料品店従業員」に含まれます。
米国のデータ
2019年4月と2020年4月の求人掲載数の差は、特定の職種名について、2019年4月13〜20日の週と2020年4月13〜20日の週の求人100万件あたりの平均掲載数に基づいて計算したものです。この方法と日付は、特定の職種名における2019年4月と2020年4月の検索数の比較 (検索100万件あたりの平均検索数の比較) でも使用しています。
2020年3月13日~2020年4月13日の求人掲載数の変化は、特定の職種名について、2020年3月6〜13日の週と2020年4月6〜13日の週の求人100万件あたりの平均掲載数を比較したものです。この方法と日付は、特定の職種名における求人検索数の比較でも使用しています。
日本のデータ
2020年1月1日~2020年5月12日の求人掲載数の変化は、特定の職種名について、日毎の求人100万件あたりの掲載数を算出し、月ごとの平均掲載数を比較したものです。この方法と日付は、特定の職種名における求人検索数の比較でも使用しています。

※ 昨年との比較を考慮したデータはプレスリリースでご覧いただけます。

原文はこちら:The State of Essential Jobs During COVID-19