感情的疲労との戦い:COVID-19ストレスに対する企業の戦い方

作家のRahaf Harfousの髪が抜け始めたとき、彼女は燃え尽き症状と情緒的消耗感が恐ろしいレベルまで達していることにようやく気付きました。疲れと過労を感じる限界を既に超えており、 “健康が実際に侵され始めている”  という燃え尽き症候群の明らかな症状でした。頭では、仕事のペースを落とさなければならないことは分かっていましたが、実際に実行することができず、そして、なぜ出来ないのか分かりませんでした。最悪の時でさえ、懸命に働けないことに罪悪感を感じていました。



そうして、Harfoush氏は、世界中の何百万人もの人が疲弊し、クリエイティビティーや生産性、QOLを損なうまで働くべきだと教えられていた実態を把握するための調査をはじめました。
著書『Hustle and Float』の中で、学んだことを執筆し、そして執筆中に希望も得ました。 クリエイターが職場で成功する方法や、企業が社員をサポートする方法もあることが分かったのです。それは、既成概念にとらわれずに考えればいいのです。



現代のワークモデルは現代の労働者のために設計されたものではない


Harfoush氏は現代の労働の大部分を “生産性の高いクリエイティブ “と定義しています。これはアーティストを意味するのではなく、「問題解決、自分の足で考える、解決策を見つけ、物事を学ぶような知識の仕事や創造的な思考をする人」のことを指します。生産性の高いクリエイティブな人には、会計士から人事の専門家、看護師や弁護士まで、あらゆる人が含まれています。

柔軟があり創造的な問題解決は、現代の多くの仕事の核となっています。彼女によれば、週40時間、9時から5時までの労働時間ですべての人の生産性を最大化するという考えは、あまりにも硬直的な概念だといいます。この枠組みは、20世紀初頭にヘンリー・フォードが自動車労働者のために広く普及させたもので、現代の多くの労働者のためにデザインされたものではありません。「クリエイティブな人の生産性は、組立ラインで製品を作っている人の生産性を測るのと同様に測ることはできません。クリエイティブなプロセスの多くは無形で目に見えないものです」と主張しています。

実際のところ、Harfoush氏は、クリエイティブな労働者は、週40時間の労働より業務時間を更に短くできる能力があると考えています。「チャレンジングで精神的負担の大きなタスクに6時間を費やしたら、脳はその日の仕事を終えた状態になります」


働きすぎのデメリット(と精神的に疲弊している労働者)


過労は逆効果だというHarfoush氏の考えを裏付ける証拠はいくらでもあります。研究によると、週40時間を超えると、労働時間に対するリターンが減少し始めます。本質的には、時間外労働中は、1時間あたりに達成できることが減少し、40時間を超えれば超えるほど、この能力の低下はより顕著になります。さらに、長時間の残業による精神的な疲労は、その後も労働者の生産性に影響を与え、チームが通常の生産性に戻るまでに数週間かかることもあるのです。

生産性と労働時間について語るとき、現在の情勢を無視することはできません。通常は、多くの人は在宅勤務ができると生産性が高まると感じていますが、パンデミックや社会的な不安が多い状況で、子供や家族の世話をしながらフルタイムで在宅勤務をすることは、非常にストレスがかかります。世論調査によると、アメリカに住んでいる人たちはこの50年で一番不幸になっているという結果もあります。

Harfoush氏は、深く根付いた文化的観念、つまり、一生懸命働けば成功するという観念が、生産性と忙しさを利用することを奨励してしまっていると指摘します。「経済的に不安定な時代だから、仕事がなければ仕事を探すことに身を投じてしまう」 そして「仕事があれば、自分の価値を示すことに身を投じているのです」と、企業が期待するであろう規範を雇用者は自身に設定しているのではないかと心配しています。

クリエイティブなエネルギーは、私たちの生活の残りの部分と切り離すことはできません。そのため、個人的な関心事や世界の状況によってエネルギーが枯渇し、ますます感情的な疲弊を経験すると、仕事やクリエイティビティは苦しくなるでしょう。「自分自身に、そして企業に、以前と同じレベルのパフォーマンスで仕事をすることを期待することはできません」とHarfoush氏は強調しています。


情緒的消耗感との戦い:私たちをこの状況にしたシステムはまだ機能しているのか。


Harfoush氏は、今日の課題には過去も現在も包み隠さず現実を重く受け止めて対処することを提案しています。新しい仕事に適応するとき、「COVID以前の過重労働を奨励する融通の利かない職場文化がすでに問題で、失敗につながっていたことを忘れてはいけない」と言います。新しい仕事に適応するにつれ、「COVID以前の過重労働を奨励する柔軟性に欠けた文化は、すでに問題があり、失敗だったことを忘れないようにしましょう」と主張します。

まずは、これまでのやり方を見直すことが第一歩です。仕事がはかどらなくなり、進歩が遅くなると、社内のシステムが社員のために役立っているかどうか見直す機会が生まれます。Harfoush氏はこの状況を逆手にとり、「これまで使用していたシステムやポリシーは、まだ役立っているのだろうか?それとも新しいアプローチが必要なのだろうか?」解いてみるといいでしょうと提案しています。

Harfoushが考えるように、これらの再評価と会話はトップから始める必要があります。会社のリーダーは、トラウマの対処、社員の不安、目標の再評価に取り組み、これらのトピックについて話し合ってもよいことを社員に示すべきです。そして、必要に応じて、リーダーは測定基準を再評価し、会社の新たな経済的、個人的な現実に適切に適応させなければならないでしょう。


社員が今できること:フレキシビリティーについてのオープンな会話


一部の企業ではすでに、雇用者のエネルギーとクリエイティビティを守り、感情的な疲労を防ぐための行動をとっているようです。フランスでは、「つながらない権利という法律で、営業時間外の電子メールに対する明確な境界線が定められていて、2011年にはドイツのVolkswagen社が業務時間外の時間帯にEメールサーバーの電源を切るようにしました。他にも、より短い勤務日数や勤務週数の実験を行っている企業もあり、日本マイクロソフトは2019年8月に週4日の勤務をテストしたところ、生産性が40%向上したという報告もあります。

より綿密なアプローチはクリエイティビティーを保護することにもつながります。例えば、生産性の高いクリエイティブな人たちは、プロジェクトに取り組むための時間を必要としていますが、会議が多い企業ではそれが難しい場合があります。解決策の一つとして、会議を特定の日や時間帯に限定することが考えられます。

課題に関わらず、個人のニーズについてチームと会話をすることで、多くのことを達成することができます。Harfoush氏が言うように、「私は多くの企業で働いてきましたが、『物事をより良くすることに全く興味がない』と言うマネージャーには一度も会ったことがありません。



アフターコロナの世界:”すでに影響を受けている”


アフターコロナの世界では、まず、労働力が人生の大変動のように感じられるものに影響を受けていることに対処する必要があると強調しています。Harfoush氏は、「クリエイティビティーに直接関係する感情的、肉体的な幸福感は、すでに打撃を受けています」と説明していて、企業が意味のある対話を社員とするための空間を作ることによって社員をサポートできると考えています。


社員の声に耳を傾け、ニーズに対応するために努力することは、新たに台頭してきた仕事の世界で成功したいと考えている企業にとって重要なことだとHarfoush氏は言います。ビジネスやマネジメントの効率を最大化することが重要であることに間違いはありませんが、そのコンセプトをどのように考えるかということも重要です。Harfoush氏の考えでは、競争上の優位性は革新的な思考の持ち主を育成につながります。「それこそが、次の時代の成功する企業を作ったり壊したりするものなのです。」

 

原文はこちら:Fighting Emotional Exhaustion: How Companies Can Combat COVID-19 Stress