ビジネスマンの健康管理:疲れを残さない睡眠のポイント

Beat overworking and bring back work-life balance

日本人は睡眠時間が短く、OECD(経済協力開発機構)加盟国30か国中最下位となっています(Gender Data Portal 2019)。睡眠時間の短さや質の低下は、健康問題に直結し、経済活動にも影響を与えるといわれています。ここでは、質の高い睡眠をとるポイントを紹介します。

 

睡眠の役割とは?

睡眠は十分な睡眠時間と規則的な睡眠リズムの2つが重要です。睡眠時間を確保することが疲労回復につながり、起床時間に大きなずれが生じないことで体内時計がリセットされ、良い活動のリズムを生みます。

反対に不眠、睡眠・覚醒リズム障害、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害があると、十分な睡眠時間を確保したつもりでも疲れがとれず、集中力の低下やうつ症状、生活習慣病などを引き起こすリスクが高まります。

睡眠にはさまざまな役割があります。睡眠時間が短い人は、生活習慣を変え、十分な睡眠時間を確保することが先決です。単に睡眠時間が短いことで身体に不調が生じているケースも少なくありません。

【睡眠の主な役割】※1

  • 活動中に筋や神経細胞から発生し蓄積された熱の放散
  • 覚醒時に働かせた脳の休息
  • 不必要な記憶の消去、精神性ストレスの消去
  • 記憶の整理と記憶の固定、記憶を引き出すための索引の作成
  • 集中的な成長ホルモン分泌による体の成長、修復、疲労回復
  • 生体防御や生体維持機能に関係する免疫系機能の維持
  • 生体リズムの調整
 ※1白川修一郎、睡眠改善学総論『基礎講座睡眠改善学』、日本睡眠改善協議会編、ゆまに書房、2008.2

 

睡眠の質を高める環境づくり

睡眠の質を高めるには環境も重要です。身体に合う寝具、清潔でリラックスできる寝衣を選ぶことはもちろん、室温や光が質の良い睡眠の妨げになっていることが少なくありません。室温は26℃程度、湿度50〜60%が望ましいとされていますが、入眠のタイミングで快適な室温を保つことがより有効といわれています。

近年、生活の場で多くみられるようになったブルーライトも睡眠の質に影響します。ブルーライトは、人に昼と夜を知らせる光の成分で、特に朝や昼間にブルーライトを浴びる機会が少なく、夜間にブルーライトをみる機会が多いと、体内時計が昼と夜を区別できず、昼間に眠くなり、就寝前に臓器や血管、神経系の活動が活発になる昼夜逆転現象を招きます。

睡眠時間を十分に確保しているにもかかわらず、疲れがとれないと感じている人は、体内時計のずれが原因かもしれません。就寝2時間前からスマホやパソコンをやめましょう。

 

寝だめがダメな理由

「睡眠負債」という言葉が使われているように、睡眠不足は「負債」として蓄積していきます。平日に睡眠時間を確保できない人は休日にたっぷり寝ることでその負債を補おうとしているのかもしれませんが、寝だめは逆効果となっているケースが多いといえます。重要なのは体内時計をできるだけ狂わせないこと。寝だめをしようと昼まで寝てしまうと体内時計が週末のたびにずれてしまい、リセットされないまま新しい週が始まってしまうのです。

自分が慢性的な睡眠不足になっていないかどうかは、週末の睡眠時間を記録することでわかります。目覚まし時計をセットせずに寝て、いつもより2時間以上多く寝てしまった場合、慢性的な睡眠不足にあると考えましょう。週末に睡眠負債を返そうとするよりも、平日に30分、1時間でも早く眠るほうが、疲れが溜まりにくく、週末は早めに寝て少し遅めに起きるのが体内時計のずれもなく、週末の時間も有効に使えます。

交代制勤務の人は体内時計がずれやすく、交代制勤務でない人に比べて生活習慣病などのリスクが高いといわれています。昼間にとる睡眠よりも夜間の睡眠のほうが疲れの軽減効果が高いことがわかっているため、夜勤中、特に深夜3〜6時の間に仮眠をとることが有効だといわれています。理想の仮眠時間は2時間ですが、1時間でも夜に睡眠時間を確保するようにしましょう。どうしても時間がとれないときには、目を閉じて10分休憩するだけでも疲れの残り方が変わります。睡眠を大事にすることが、仕事、生活の質を高めることにつながります。

 

参考資料
https://www.env.go.jp/air/report/h21-06/01.pdf
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/jikan/pdf/kamin.pdf