ビジネスマンの健康管理:健康診断結果の読み方

年に一度の健康診断は、自分の一年間の健康管理の通知表ともいえるもの。また、次の年に向けた健康管理の目標設定にもなるでしょう。しかし、その意味合いを理解していないと上手に活用することはできません。ここでは定期健康診断の項目からどんなことがわかるのか、何に気をつければよいのかをみていきましょう。

 

定期健康診断とは?

労働安全衛生法によって健康診断の種類、項目が決められています。サラリーマンの場合、主なものとして雇入時に受ける健康診断と、定期健康診断が一般健康診断として位置づけられています。そのほか業種や職種によって決められているものもあります。

毎年受ける定期健康診断は、1年以内ごとに1回行うことが定められています(労働安全衛生規則第44条)。

【定期健康診断の項目】

  1. 既往歴および業務歴の調査
  2. 自覚症状および他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力および聴力の調査
  4. 胸部X線検査および喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(血色素量および赤血球数)
  7. 肝機能検査(GOT、GPTおよびγ−GTPの検査)
  8. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査
  11. 心電図検査

このうち身長の検査は20歳以上の場合、喀痰検査は胸部X線検査で異常がなかった場合など、医師が必要でないと判断した場合には省略されるものもあります。主な検査をみていきましょう。

【胸部X線検査】

胸部にある臓器、主に肺や心臓、大動脈などの異常がないかどうかをみる検査です。肺に影がないかどうか、心臓が肥大していないかなどをみます。胸部X線検査だけで胸部の病気のすべてがわかるわけではありませんが、異常があればさらに詳しい検査を行います。

【血圧】

血圧が高いと血管に負荷がかかり動脈硬化が進みます。心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こす原因となります。日本高血圧治療学会では、診察室血圧と家庭内血圧に分けて分類しています。

分類 診察室血圧 家庭内血圧
収縮期血圧
(最高血圧)
拡張期血圧
(最低血圧)
収縮期血圧
(最高血圧)
拡張期血圧
(最低血圧)
正常血圧 <120 かつ <80 <115 かつ<75
正常高値血圧 120〜129 かつ <80 115〜124 かつ <75
高値血圧 130〜139 かつ/または80〜89 125〜134 かつ/または75〜84
Ⅰ度高血圧 140〜159 かつ/または 90〜99 135〜144 かつ/または85〜89
Ⅱ度高血圧 160〜179 かつ/または 100〜109 145〜159 かつ/または 90〜99
Ⅲ度高血圧 ≧180 かつ/または ≧110 ≧160 かつ/または ≧100
(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ <90 ≧135 かつ <85

赤字はすでに高血圧の状態にあり、治療の対象ですが、ここでポイントとなるのが「正常高値血圧」や「高値血圧」という結果が出た場合です。これは高血圧の診断ギリギリ踏みとどまっているレベルということ。対策を急ぐ必要があります。

 

血液検査でわかる生活習慣病

【血液検査】

血液検査では、6〜9の貧血、肝機能、血中脂質、血糖がわかります。

  • 貧血

    ヘモグロビン値:男性13.1〜16.3g/dL、女性12.1〜14.5g/dL

    ヘモグロビン値が低い場合には貧血が疑われます。ただし、血液中の鉄分が不足した場合、肝臓などに蓄えられた貯蔵鉄が使われるため、すぐに貧血を起こすわけではありません。妊婦や生理中など、特に女性は鉄分が不足することによる鉄欠乏性貧血を起こしやすいため、基準値内であっても鉄分不足に注意が必要です。

  • 肝機能検査

    GOT、GPT:30U/L以下
    γ-GTP:50U/L以下

    GOTややGPTが高いと肝疾患(急性肝炎、慢性肝炎、肝臓がん、アルコール性肝炎など)が考えられます。γ-GTPも同様に肝機能異常をきたす病気の可能性があります。自覚症状がなく進行するのが肝疾患の特徴です。基準値よりも高い場合には治療を受け、生活習慣を改善することが重要です。

  • 血中脂質検査

    HDLコレステロール:40mg/dL以上
    LDLコレステロール:60〜119mg/dL
    トリグリセライド:30〜149mg/dL

    血清総コレステロールは、血液中のコレステロールの量全体をいいます。HDLコレステロールはいわゆる善玉コレステロール、LDLは悪玉コレステロールを指します。トリグリセライドは中性脂肪のことです。

    善玉コレステロール値が低いと悪玉コレステロールが増加し、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高くなります。しかし、“善玉”といってもHDLコレステロールだけが高い場合にも医師の診察が必要となる場合があります。中性脂肪も基準値以上の場合、動脈硬化や肥満、糖尿病などのリスクとなります。

  • 血糖値(FPG)

    血糖値:99mg/dL以下

    血糖値は血液中のブドウ糖の値を示すもので、高値は糖尿病の発症の危険が高まります。血糖値が高い状態を放置していると、糖尿病の進行による合併症、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなるため、早期に医師の指示のもと血糖コントロールをはかることが重要となります。

【尿検査】

尿検査では、腎臓や膀胱、尿管などの腎・泌尿器系、肝臓などの病気がわかります。代表的なものとして尿酸値がありますが、尿酸値が高いと痛風だけでなく、心血管疾患や腎臓病のリスクが高くなります。また、尿酸値は低すぎても腎臓で尿酸が排泄されすぎている状態のため、注意が必要です。

【心電図】

心電図検査は、電気信号によって心臓の動きをみるもので、どの波形に異常があるかによって考えられる異常は異なります。なかには大きな問題がないこともありますが、心電図の異常を指摘され、受診が必要という結果が出たときには早めに医師の診察を受けるようにしましょう。狭心症、心筋梗塞など、大きな病気のリスクがあります。

病気は未病、あるいは早期の段階で手を打たなければ、治療の費用も日数もかかります。この結果を踏まえて次の定期健康診断に向けて生活習慣を見直したり、早期に医療機関を受診したりと、次の行動につなげることが重要です。

 

参考資料
https://www.ningen-dock.jp/public/method
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000136750.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf