ビジネスマンの健康管理:オフィスの「冷え」対策

外出が多い職種と内勤中心の職種では、働く環境が大きく異なります。特に内勤中心の人は温度調節された環境が“当たり前”になっていますが、それが身体本来の持つ機能の衰えの原因になっているかもしれません。室内は温かいはずなのに足先はいつも冷たい、平熱が低めという人は、冷えが進んでいる可能性があります。

習慣化したい冷え対策と、オフィスで気軽にできる対策をご紹介します。

 

“老若男女”の冷え問題

「私冷え性だから」「手足がいつも冷たい」というのは、中高年以降の女性に多いと思っていませんか?

実は若い人、そして男性にも“自覚していない”冷えは多いといわれています。それは今の“当たり前”になった生活に大きな原因があります。

(1)いつでも冷たいものが食べられる

季節を問わず、冷蔵庫には冷たい飲み物やアイスクリームがあったり、コンビニエンスストアに行けばその場で冷たい食べ物、飲み物が購入できますが、冷たいものの取りすぎは冷えを助長します。

(2)いつでもエアコンが使える

気密性が高く、空調設備も整っている建物が増え、公共交通機関、飲食店など、屋内のほどんどで温度が一定に保たれています。人の身体には、暑いときには汗をかいて体温を下げたり、寒いときに血管を収縮させて熱が逃げるのを防いだりする機能が備わっていますが、その機能を使わなくても温度調節ができるのが現代の暮らし。“使わない機能は衰える”といいますが、体温調節の機能がうまく使えない人が増えているといわれています。

(3)運動不足による筋力低下

特に冷えが女性に多いといわれているのは、男性に比べて筋肉量が少ないことにも原因があります。運動不足で筋肉量が少ない人は熱を作り出すことができないため、冷えが一層進んでしまうのです。しかし、冷えは「女性のもの」というわけではありません。男性でもデスクワーク中心で運動不足の人は気づかないうちに冷えが進んでしまいます。

(4)ストレスが冷えの原因に

ストレス過多の人は、自律神経が乱れ、血流が低下しやすい状態にあります。それが体温を下げる原因となって全身の冷えにつながります。

 

習慣化したい冷え対策

例えば、冷えを自覚していなくても、次のような人は要注意です。冷えが進んでいる可能性があります。

☑手足が冷たくて眠れない

☑おなかがいつも冷たく、よく下痢をする

☑肩こりや腰痛がひどい

☑夏でも汗をほとんどかかない

☑冷たいものを好んで飲んだり食べたりする

☑多少寒くてもおしゃれを重視した洋服を選ぶ

☑(女性)生理痛がつらい

(1)食事で冷えを改善する

日常生活での冷え対策としては、冷たいものの食べすぎ、飲みすぎを防ぐことが第一ステップです。さらに筋肉に必要なタンパク質、エネルギーをつくるビタミンBや血液の流れをよくするビタミンEなどの栄養素を積極的に取りましょう。

食材選びで困ったときにはレンコンやゴボウなどの根菜類、身体を温めるショウガ、唐辛子などを選ぶと、身体を温めるのに役立ちます。野菜は生で食べるよりも加熱するのがポイントです。

(2)運動で筋肉量を増やす

食事だけで冷え改善は難しいのが現実。熱をつくり出す筋肉量を増やし、血流を改善するには運動習慣が重要です。特に「デスクワークで通勤でしか歩かない」という人は、帰宅時に一駅前で降りて歩く、休日に身体を十分動かすなど、筋肉量をアップさせる必要があります。運動で適度に汗をかくことも血流アップによる冷え対策になりますし、ストレス解消にもなります。

「運動が苦手」と思っている人の多くが、学生時代に体育の成績があまりよくなかった人ではないでしょうか。しかし、健康づくりのための運動は誰かと比較するものでもなければ、記録を出すためのものでもありません。今は自宅で動画を見ながらできるものも多いので、自分のペースでできる範囲で習慣化しましょう。

(3)湯船につかって温まる

シャワー浴ではなく、できるだけ湯船につかって身体を温めることを習慣化しましょう。熱すぎるお風呂よりは少しぬるいと感じる程度の温度に長くつかるほうが、体温の上昇もゆるやかで血流がよくなり、湯冷めしにくくなります。

 

オフィスでできる冷え対策

デスクワークの人は特に、1時間に1回は席を立つ、もしくは座りながらでも足を動かしたり、肩を回したりして身体を動かすことを意識しましょう。血流を改善することで冷え予防につながります。服装は、首、手首、足首を温めることを意識して、オフィスでは靴下やネックウォーマーなどを使って冷えを防ぎましょう。

オフィスで自分だけの電気ひざ掛けや電気マットを使うことは難しいかもしれませんが、ひざ掛けなら大丈夫という人もいるでしょう。これだけでも冷え対策にはなりますが、さらに膝上に小さな湯たんぽを置けば、足先だけでなく身体全体が温まります。小さな湯たんぽなら、給湯室でお茶を入れるついでにできる人もいるのではないでしょうか。太ももなどの大きな筋肉がある場所に置くのがおすすめです。

使い捨てカイロを使うなら、腰の低い位置に貼ったり、足用のものを活用しましょう。特に女性で冷え性の人の中には、「足先は冷えているのに顔はのぼせてしまう」という人がいます。足先をしっかり温めることで、頭がぼーっとすることもなく、集中して仕事にも取り組めます。

 

「冷えは万病のもと」ともいわれますが、効率よく仕事をする上でも、しっかりと冷え対策を取りましょう。

 

参考資料

川島朗:「がん」も「うつ」も体温が低い 低体温と病気の思いもよらない関係.河出新書,2020.